観賞魚最大の課題、コケに立ち向かう
魚を飼っている人を悩ましている3大事項は、斃死、コケ、換水メンテの手間・・・・・・でしょう。
ここでは、そのうちの1つ、コケ対策を考えてみます。
コケは、光と、少しの栄養分さえあれば成長する植物です。
ミドリイシ系のサンゴは別として、ほかの生物の害になるものでもありません。
よって、それほど神経質になることも無いと思います。
生物ろ過が安定してくると、コケの発生量もだんだん減ってくる場合が多いです。
週1、2回、水槽壁面にコケが付くのをスポンジなどで掃除する程度でしたら、正常と言えるでしょう。
しかし、毎日毎日掃除が必要なほどコケが生えるのは、良くありません。
以下に、そのような状況になってしまった場合の対策をあげます。
どれか1つだけを行うのではなく、複合的に行うのが良いでしょう。
〜予防対策〜
@目の細かいアラゴナイト底砂を厚めに敷く
厚めに敷いた底砂の中が、酸素の少ない還元状態に保たれると、脱窒菌が働くようになります。
この細菌は、コケの栄養分となる、硝酸、リン酸を取り除きます。
脱窒を行なうための底砂は、カリブシー製品では、シュガーサイズやセレクトあたりで、※1)
細かい粒サイズの砂ですね。
ただし沢山の魚を入れすぎますと、脱窒も追いつかなくなりますので、ご理解くださいませ。
A魚の量を減らし、サンゴや海藻とのバランスをとる
水槽内で、魚の量と、窒素やリンを吸収する好日性サンゴの、量的なバランスがとれれば、
コケの発生は最小限になります。
例えば、好日性サンゴや海藻が、海道システム水槽内にぎっしりと入っている場合、
魚は、 カクレクマノミ2匹+ギンポ1匹+ハタタテハゼ2匹+小型魚2〜3匹+小型エビ数匹程度に
抑えておくと、硝酸、リンの蓄積がほとんどなくなり、コケの生え難い状況になりました。
B殺菌灯を使用する ※2)
殺菌灯は、コケの胞子を殺し、水中の有機物を分解することで、コケ抑制効果を発揮します。
また、飼育水の黄ばみを取って透明度をアップさせる上に、魚病を予防することができます。
一方、細菌を食べると言われているミドリイシ類には、殺菌灯は使用しないほうが良いとされています。
ただし海道システムで殺菌灯を使用しますと、水流量が低下します。
その分は水流用の小型ポンプを足すことで、補いましょう。
〜コケのもとを取り除く〜
Cろ材を海水で軽く洗う
ろ材に付着したヘドロ分を洗い流すことで、コケの栄養分を取り除くことが出来ます。
水道水で、ろ材をゴシゴシ洗うと、大切な濾過バクテリアまで死んでしまうので、
別の容器に分けた 飼育水か海水で、洗うようにしましょう。
D多めの換水を行う
飼育水中のコケの栄養分を、減らすことができます。
E底砂のヘドロを除去する
市販の底砂掃除用ホースを使用して、堆積したヘドロを除きます。
ヘドロ内に蓄積したコケの栄養分を除去することで、コケを減らせます。
換水を一緒に行うと良いでしょう。![]()
マガキガイやベントス食ハゼを飼えば、
底砂中のヘドロを食べてくれ、コケ低減に役立ちます。
注)極小粒のアラゴナイトサンドでは、
底砂掃除ホースでの掃除は難しいです。
Fリン酸除去剤、ケイ酸除去剤を使用する
コケの栄養分となる、
過剰なリンやケイ酸を取り除くことで、
コケを低減させます。
〜コケを取り除く〜
Gコケ取り生物を使用する
・水槽壁面のコケ・・・・シッタカ貝、草食ギンポ、コブヒトデ など
・ヒゲゴケ・・・・・・・草食性ヤドカリ、エメラルドグリーンクラブ(カニ)、フシウデサンゴモエビ、
ヒレナガハギ類(海道システムでは魚が大きすぎて不向き)、レタススラグ など
・砂の上に生えるコケ・・ベントス食性ハゼ(ミズタマハゼが主力)、ナマコ、マガキガイ、ヤドカリ など
これらの生物の活用が一般的です。
ギンポ同士ではケンカしますので、ギンポ+シッタカ貝のような組合せが良いでしょう。
また、ベントスハゼは、砂底に穴を掘るので、レイアウトしたライブロックが崩れる危険があります。
岩組みを確実に行うか、
岩が水槽底面に直接触れるように置いても良いでしょう。
シッタカ貝は、サンゴを動かして落下事故を起こしてしまう場合があるので、
サンゴを安定した場所に置くか、水中ボンドでライブロックに固定するのが良いでしょう。
Hコケ防止添加剤を使用する
各種コケ防止剤が市販されているので、これらを使用するのも手です。
・茶ゴケ、ヒゲゴケ・・・・・マリンタンククラリファイヤー(販売は終了しました。)
・赤ゴケ(藍藻)・・・・・・アンチレッド
※1)‘シーフローSPグレード リーフサンド’について
弊社で扱っている底砂「アラゴナイト」には粒のサイズが3種あります。
上記で触れていない‘リーフサンド’は、
‘シュガーサイズ’や‘セレクト’などと比べ、粒サイズが大きめですが、
カリブシーの底砂「アラゴナイト」であるこの3種には、共通して
ろ過細菌(脱窒菌も含め)が湧きやすく、
コケの原因となる窒素(硝酸のもと)、リン酸、有機物の含有量が低い
という特長があります。
また、‘リーフサンド’は、他の小粒の2種よりもヘドロ抜きなどの掃除がしやすいのも特長です。
※2)‘殺菌灯を使用する場合’の注意
殺菌灯をご使用になる場合は、クーラーの上に直接置かないようにしてください。
殺菌灯は、振動のある場所で使用すると、放電管が短寿命になる可能性があります。
また、殺菌灯の接続位置は、クーラーの前と後、どちらでも問題はありません。
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いろいろなコケとその対策
水槽に生えるコケはいろいろな種類があります。
ここでは、その種類別の対策を考えます。
海水水槽で生えるコケで、主な種類は、
茶ゴケ(珪藻)、赤ゴケ(藍藻)、緑ゴケ(緑藻)、石灰藻があります。
〜茶ゴケ〜
水槽壁面やライブロックに生える、茶色いコケです。
ほとんどが珪藻で、ガラスと同じ‘ケイ酸’の骨格
を持っています。
人工海水の塩を溶かす水に
ケイ酸が多く含まれている場合は、
常時発生しやすいコケです。
また、水槽セット直後〜半年程度までの、
水質が不安定な期間や、
硝酸やリン濃度が高い場合に大発生することが
多いです。
茶ゴケ自体は、
タンクメイトへの害はほとんど無いのですが、
2-3日に1回のコケ掃除をしなければ、観賞の妨げになってきます。
これは、水質に問題があると思いますので、何らかの対処を行いましょう。
ろ過システムに対して、
餌や魚の量が多すぎるか、ケイ酸過剰が原因と思われます。
対策
水槽をセットして時間が経つと、自然に落ち着いてくる場合が多いのですが、
条件によっては悪化していくこともあります。
手軽な順に対策を述べます。
●ライブロック導入時に、ライブロックの掃除をしっかり行っておく。![]()
●シッタカガイ、ヤエヤマギンポなどの小型ギンポに
食べてもらう。
海道システムでは、
小さめのシッタカガイ3匹+ヤエヤマギンポ1匹を
入れておけば、
水槽壁面の茶ゴケ掃除の手間は
半減すると思います。
ただし、シッタカガイは、
サンゴを転がしてしまうリスクが高いものです。
サンゴをしっかり安定させておくか、
水中ボンドで岩組みに接着してしまいましょう。
水中ボンドは、観賞魚用ものをお使いください。
●魚だけの水槽では照明を暗めにし、
点灯時間を短めに、8時間程度にする。
●サンゴが入っている水槽の場合、
好日性サンゴと魚のバランスを考え、魚を少なめにして、
茶ゴケの原因になる、魚の排泄物から出る窒素やリンの量を
サンゴが吸収しきることができる量に抑える。
●コケ防止剤である、コーラルライフの‘マリンタンククラリファイヤー’を使ってみる。
●‘シリケイトリムーバー’‘フォスフェイトリムーバー’のような
ケイ酸、リン酸吸着ろ材を使用する。
ただし、これらのろ材は微量元素の一部も吸着するので、規定量を守って使いましょう。
当社の試験では、規定量の2倍量の使用で、
サンゴや海藻がいっせいに調子を崩し、 回復に1ヶ月程度かかってしまいました。。
〜赤ゴケ〜
ラン藻の仲間で、
「シアノバクテリア」と呼ばれることもあります。
ほかのコケとは違い、核膜を持たない、
細菌(バクテリア)に近い藻類です。
太古の地球で最初に光合成を行った生物は、
このラン藻でした…
強靭な生命力は
水槽内でも遺憾なく発揮されます。
困ったことです。
水質が不安定な、設置して間もない水槽のみならず、
設置後、数年が経過したような水槽でも発生します。
餌をたくさん与える魚水槽や、
サンゴの入った水槽では、ヘドロが溜まりやすい水流の よどみ に発生しやすいです。
つまり、有機物が蓄積されると発生しやすいコケ、と考えることができます。
この赤ゴケが発生すると、赤紫色の薄い膜が、底砂やライブロック表面を覆います。
条件がそろってしまうと、成長の速さは茶ゴケ以上!という厄介者です。
対策
●水槽壁面に生えた赤ゴケは、
シッタカガイ、ヤエヤマギンポなどの小型ギンポに食べさせる。
前章をご参照ください。
●底砂の上に生えた赤ゴケは、
マガキガイ、ミズタマハゼのようなベントス食のハゼ(カニハゼ以外)、
小型のナマコに掃除をしてもらう。
特に、ハゼの効果はテキメンですが、底砂に深い穴を掘るので、
ライブロックのレイアウトが崩れないように注意します。
私達の試験水槽では、即効性は無いのですが、マガキガイを1−2匹
入れておけば、1月もするとだいたい治まりました。
●こまめにコケを吸い出す。
しかし、他の要因が改善されないと、またすぐに生えてきます。
●水流ポンプを追加して、水流の よどみ を減らす。
●給餌量、または魚の量を減らす。
●アンチレッド(赤ゴケ抑制剤)を使用する。
〜緑ゴケ〜
緑藻の仲間です。
ウミブドウなどの観賞用海藻の多くも、
この緑藻の仲間です。
緑ゴケは、
水槽をセットして
数ヶ月〜半年ほど時間が経って、
水質が安定してくると出てくる場合が多いです。
水槽壁面にポツポツと付く硬いもの、
糸状のもの、鳥の羽状のようなものなど、
いろいろなタイプがあります。
成長は、茶ゴケや赤ゴケほど速くはないです。
そのため、大量発生にいたることは稀なのですが、
茶ゴケや赤ゴケよりも硬いので、拭き取りにくいです。
このコケの発生は、水質がほぼ良好な状態に保たれている証なので、
予防、というよりは、掃除方法を工夫しましょう。
対策
●水槽壁面に生えた緑ゴケは、
シッタカガイ、ヤエヤマギンポなどの小型ギンポに食べさせる。
前々章を参照ください。
●コケ掃除用具で、週1回程度の清掃を行います。
コケ取り用のスクレーバー状の工具が市販されています。
ガラス水槽の場合は、1000番の耐水紙やすりを使うと、割と楽に緑ゴケを落とせます。
〜石灰藻〜
石灰藻は、ほかのコケとは違って、
どちらかといえば、歓迎されるコケです。
水槽壁面やライブロック表面に生える、
赤やピンク色をもつ石灰質のコケで、
別名サンゴ藻とも呼ばれます。
硝酸や、リン酸が少なくて清浄で、
かつ、カルシウム、微量元素が豊富な水質で
よく成長します。
このコケが安定して生える水槽は、
石サンゴ飼育に適した水質になっている、と言え、
かつ、美しいので、
そのための添加剤「カリブシー・パープルアップ」もございます。
対策?
このコケは、観賞価値が高いので、
水槽前面や側面に生えた部分だけを
除去すれば良いのです。
しかし、このコケは、
一般に市販されているような
柔らかいコケ取り器具を使って取り除くことは
困難です。
かたいスクレーバー状のコケ取りや、
耐水紙やすり(1500番)だと取り除けますが、
これらは、アクリル水槽に傷をつけるので
注意が必要です。
つまり、
石サンゴを本格的に飼育される場合は、
ガラス水槽を選ばれる方が無難と言えますね。
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